ゴルフの歴史とゴルフスイング
ゴルフは、15世紀にはスポーツとしてスコットランドで行われており、長い歴史を持っています。19世紀後半からメジャーなスポーツになり、数々のアイテムが開発されてきました。
新たなアイテムは、そのアイテムを最大限に生かせる新たなゴルフスイングを生んできました。すなわち、過去のアイテムに最適だった過去のゴルフスイングは、現在のアイテムには適しません。
現在のシニアプロゴルファーのゴルフスイングは、既に過去のものになってしまっています。現在のゴルフスイングは、昔に比べ、シンプルで覚えやすいものです。
ゴルフスイングに影響を及ぼしたアイテム
ゴルフスイングに大きな影響を及ぼしたアイテムには、以下のものがあります。
・ゴルフクラブ
・ゴルフボール
・ゴルフコース
・ゴルフウエア
その中でも、ゴルフクラブのシャフトの素材が、ゴルフスイングに最も大きな影響を及ぼしました。
ゴルフボールは羽毛を皮でくるんだものから、天然樹脂製に、更にゴム製にと、飛距離を伸ばしていきました。
ゴルフコースは、20世紀にアメリカでゴルフが盛んになった時に、砲台グリーンなどが作られ高弾道の飛球が必要になりました。
ゴルフウエアは、伸縮性のある素材が開発され、動きの自由度を増やしました。
ゴルフスイング I
時期
19世紀末から20世紀初頭に確立
活躍したゴルファー
ハリー・バートン、J・H・テーラー、ジェームス・ブレード、ボビー・ジョーンズ
新ゴルフアイテム
ゴム製のボールとヒッコリーの木のシャフト
ゴルフクラブのシャフトには、それまで硬い木が使われていましたが、良くしなるヒッコリーの木(クルミ科の樹木)が使われる様になりました。良くしなるシャフトは、スピンがかけやすい反面、ねじれやすく、ダウンスイングでクラブヘッドが遅れてくる問題もありました。
ゴルフスイングの特徴
シャフトのしなりでヘッドが遅れてくる問題を解決するために、インパクト直前に、体の回転を止め、手首を左甲の方向に曲げてクラブヘッドを体に追いつかせ、更に腕を返してクラブフェースをローテンションさせる「リストターン」が用いられる様になりました。
「リストターン」は、ヒッコリーのシャフトの問題点を解消するために行われ始めたのです。
グリップは、シャフトのねじれを抑えるためにストロンググリップを使っていました。
ゴルフスイング II
時期
20世紀中頃に主流
活躍したゴルファー
ベン・ホーガン
新ゴルフアイテム
スチールシャフト。伸縮性のあるゴルフシャツ。
スチールシャフトは、ヒッコリーの木より軽く、しなりが小さく、ねじれにくい特徴を持っていました。
ゴルフスイングの特徴
しなりがヒッコリーの木より小さいため、ゴルフスイングⅠの打ち方で打つと、必ずゴルフボールは左に曲がり、フックボールになってしまいました。
その対策として、途中で左に曲がるゴルフボールを右方向に打ち出し、結果としてゴルフボールを真っ直ぐに飛ばすスイングになりました。インサイド・アウトのスイングです。過去の新アイテム(ヒッコリーのシャフト)に対応するために開発されたリストターンは、そのまま、まだ残っていました。
ストロンググリップは、フェースが左に向きやすいので、スクエアかウィークに握る事が多くなりました。
更に、砲台グリーンなどの奇抜なゴルフコースに対応するため、高弾道飛球が打ちやすいフォロースルーも取り入れられました。フィニッシュでは、体全体が目標方向に弓なりに大きく反っていました。
ゴルフスイング III
時期
20世紀後半に主流
活躍したゴルファー
バイロン・ネルソン、ジャック・ニクラス
新ゴルフアイテム
シャフトは、スチールのまま。伸縮性のあるズボン。
ゴルフスイングⅡでは、スチールシャフトの特性を生かしきっていませんでしたが、ゴルフスイングⅢで根本的な改善が行われました。
ゴルフスイングの特徴
スチールシャフトでは本来不要だったリストターンが無くなり、ダウンスイングの開始時とフォロースルーの終了時での手の位置を従来より高くした、アップライトなスイングになりました。
スタンスはオープン気味で、高弾道を打つための弓なりフィニッシュは、伸縮性のあるズボンを着用することで更に弓なりが大きくなりました。
ゴルフスイング IV
時期
20世紀末から現在
活躍したゴルファー
タイガー・ウッズ
新ゴルフアイテム
低重心構造のクラブヘッド。カーボン繊維や複合素材のクラブシャフト。
ウッドのクラブヘッドは、金属製で大きく重くなり、アイアンのクラブヘッドはキャビティー付きが普通になり、ゴルフクラブは低重心で慣性モーメントが大きくなりました。
また、シャフトは、カーボン繊維や複合素材(クラッド)を用いる事で、重量を下げ、ねじれを小さくし、しなりを制御できる様になりました。
これらによって、力の無いゴルファーでも、高弾道で飛距離を伸ばすことが可能になりました。
ゴルフスイングの特徴
当然、リストターンはありません。低重心構造のクラブヘッドで簡単に高弾道を得られるので、ゴルフスイングⅡとⅢで用いられ、背骨にも負担が大きかった弓なりフィニッシュは不要となり、スイング中に重心移動が右から左へ行われる様になりました。
グリップはストロングが標準ですが、シャフトのトルクに合わせてストロングからスクエアまでいろいろです。
アップライトなスイングはそのままですが、アップライトと言っても、回転軸である背骨が前傾しているため、そう見えるだけです。
前傾を直立に戻してみると、手は肩より上に上がってはいません。(ごく一部のツアープロを除きます。)
ゴルフスイングの指導方法
日本では、プロのインストラクターが、いまだにリストターンを用いたゴルフスイングを、テレビや雑誌や本で解説されています。しかし、このリストターンは職人技の複雑なゴルフスイングで、ゴルフスイングの基本としては過去の遺物です。一般人には必要の無いゴルフスイングです。
現在のアメリカなどのトッププロが用いているゴルフスイングは、問題が出来るだけ発生しづらいゴルフスイングで、とてもシンプルです。アマチュアが最初に知るべきゴルフスイングです。
このゴルフスイングIVの実際は、「ゴルフスイングの基本」のページをご覧下さい。
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