登山用高度計・飛行機用高度計など、各種高度計の解説です。

高度計の知識

各種高度計

高度計は、気圧式・GPS式・レーザ式・レーダ式などがあり、登山・航空機・スカイダイビング・ハンググライダー・パラグライダー・リモコン飛行機・人工衛星・測量などに用いられています。
気圧方式
航空機用アナログ高度計
登山用デジタル
高度計
登山用アナログ
高度計
パラグライダー用高度・昇降計
GPS方式
登山用ハンディーGPS
測量用GPS
レーザ方式
レーダ方式
人工衛星搭載レーザ高度計
人工衛星搭載
レーダ高度計
航空機搭載
レーダ高度計

ご注意:航空機や青海チベット鉄道(青蔵鉄道)などでは、乗客の身を守るため客室は与圧されて
います。与圧客室内では、気圧式高度計は正しい高度を示しません。

気圧式高度計

原理
高度が上がると、気圧は低下します。
空気は、そこより上の空気が地球に引き寄せられる力(重力)を下向きに受けています。
高度が上がる程、そこより上に残っている空気が少なくなるため、気圧は減少します。
この原理を用いて、測定した気圧値から高度を計算します。

国際民間航空機関(ICAO)が定めたICAO標準大気では、(平均海水面での気圧が1013.25hPa、気温が15゜Cでの条件で)以下の式で気圧(P)から高度(H)が計算出来ます。(H<11000m)
H=44330.8×{ 1−(P/1013.25) ^0.190263 }  ... (1)
  (1)式では、べき乗を示します。Hの単位はm、Pの単位はhPaです。

高度(H)から気圧(P)を求める式は、(2)式になります。
P=1013.25×{ (288.15−0.0065×H)/288.15 } ^5.25588  ... (2)
高度毎に気圧を計算すると以下のようになります。

ICAO標準大気
高度
気圧
気圧勾配
気温
気温勾配
  0 m
1013 hPa
−0.120 hPa/m
15.0゜C
−0.0065゜C/m

1,000mあたり
6.5゜C低下

(日本上空では
1,000mあたり
約5゜Cの低下)
 500 m
 955 hPa
−0.114 hPa/m
11.8゜C
1000 m
 899 hPa
−0.109 hPa/m
 8.5゜C
1500 m
 846 hPa
−0104 hPa/m
 5.3゜C
2000 m
 795 hPa
−0.099 hPa/m
 2.0゜C
2500 m
 747 hPa
−0.094 hPa/m
−1.3゜C
3000 m
 701 hPa
−0.089 hPa/m
−4.5゜C
3500 m
 658 hPa
−0.085 hPa/m
−7.8゜C
(高度0m付近では、100mあたり12.0hPa気圧が低下します。)

(1)式の直線近似式を用い、測定した気圧値(P)から高度(H)を計算し表示するのが、気圧式高度計です。しかし、実際の大気状態は、ICAO標準大気とは異なっています。 そこで、登山用気圧式高度計では、使用前に表示高度を標高に合わせる「高度補正操作」が必要です。

その後、標高差が大きくなり、時間が経過すると、表示高度が標高から外れてきます。(実際の大気とICAO標準大気の違いによる高度表示誤差) そのため、気圧式高度計では、先の高度補正後、1時間が経過する前、又は、標高差が500mに達する迄に、標高が判っている場所で高度補正操作を行います。(詳しくは、「高度計の使い方」をご覧下さい。)

気圧センサ
高度計に用いられている気圧センサは、主に機械式と半導体式に分かれます。
形式
機械式
半導体式
名称
アネロイド型
ピエゾ抵抗型
作動原理
振動耐性
一般的に弱い
(振動で針が動くものもある。)
一般的に強い
目盛/表示
最小目盛20m
(細かく読み取れない)
デジタル1m又は0.1m
(一目で読み取れる)
使用温度範囲
低温でも、使用可能。
低温では、正常動作不可。


デジタル高度計の表示誤差 (詳しくは、「登山用高度計の誤差」(PDF形式;825KB)をご覧下さい。
デジタル高度計の表示誤差
  = [A. 機器誤差]+[B. 実際の大気とICAO標準大気の差による表示誤差]

A. 機器誤差(高度計の仕様に表示されている誤差)
機器誤差は、気圧センサの誤差と、高度計算での直線近似の誤差の合計です。

項 目
機器の仕様
誤 差
気圧センサの誤差
 温度補償機能有り  +/- 数m
 温度補償機能無し
   (注意:保温の必要有り)
 誤差大
   (+/- 100m以上)
高度計算における
直線近似の誤差
 良好な近似式  +/- 数m
 簡易な近似式  +/- 数十m
温度補償機能
気圧センサは、温度の影響が大きく、温度補償機能が通常組み込まれてます。しかし、温度補償機能が無いデジタル高度計も広く市販されています。
直線近似
べき乗計算を含むICAO標準大気の(1)式は、計算が複雑です。そこで高度計は、気圧範囲毎に直線近似計算をしています。近似が悪い機種だと、大きな誤差が出ます。
カタログ等に精度が明示されていない機種には、特段の注意が必要です。

登山用高度計 機器誤差 比較表
形式
メーカ
最小目盛
表示単位
機器誤差
機械式
国内A社
20m
誤差のカタログ記載無し。
EMPEX
20m
誤差のカタログ記載有り。
 高度0〜1500mの誤差= +/-(7%+10m)
 高度1500〜5000mの誤差= +/-(5%+10m)
半導体式
北欧S社
1m
誤差のカタログ記載無し。
取扱説明書に高度の計算方法が記載されている。

高度補正した高度H0,温度T0をメモしておき、
高度H1の表示が出た場所の温度をT1とすると、
  計算高度=H1+{(T0-H0x0.0065+15)
          +(T1-H1x0.0065+15)}x(H1-H0)x0.002
 (電卓と取扱説明書とメモの携行が必須です。)
国内C社
1m

誤差のカタログ記載無し。(現カタログ)
取扱説明書によると、高度計を常に肌に密着させ、温度変化が極力無いように使用する必要が有る。(気圧センサに温度補正機能無し=誤差大)

旧カタログ記載の高度誤差は、(0〜6000m)
  温度一定時の誤差= +/-(高度差×3%+30m)
  温度変化による誤差= +/-8m/゜C

腕から外し、1000mで6.5゜C気温が下がると、
  高度誤差= +/-(高度差×8.2%+30m)

米国D社
0.1m
誤差のカタログ記載有り。
 高度誤差= +/-50m

仕様上これ以上のコメントがメーカから出てきません。
高度 0mから、10mの所に移動した時に、-40mや60mの表示が出ても構わないことになります。
EMPEX
10m
誤差のカタログ記載有り。
 高度誤差=+/-(表示値×3%+10m)

岳人1998年9月号記事(富士山で高度計を徹底チェック)で、誤差が最も小さい高度計と評されています。
米国
BRUNTON
1m
誤差のカタログ記載有り。
 高度誤差=+/-3m (天気変化無い時)

仕様上、機器誤差が世界最小のデジタル高度計です。
高度計御購入の節は、精度表示のチェックを是非お忘れなく。(メーカの姿勢が判ります。)

B. 実際の大気とICAO標準大気の差による表示誤差(高度計の仕様に関係なく生じる誤差)
以下は、実際の大気が、ICAO標準大気と異なるために生じます。

項目
影響因子とその条件
誤差の最大
定常的な誤差
 ジオポテンシャル高度と緯度
   (日本の山岳)
 +/- 1m/標高差500m
 海面気温 (日本の四季)  +/- 27m/標高差500m
 海面気圧(時間変化無し)
    (低気圧〜高気圧)
 +/- 3m/標高差500m
 気温減率(日本付近)  +/- 9m/標高差500m
 相対湿度 (80%)  +/- 2m/標高差500m
時間経過に伴う
誤差
 海面気圧の時間変化  頻度70%: +/- 5m/時間
 頻度95%: +/-10m/時間
 荒天時 : +/- 40m/時間
海面気温・気温減率・海面気圧の時間変化が、誤差に大きな影響を与えます。

C. 季節による表示誤差(標高差500m内又は1時間以内に高度補正、穏やかな天候が条件)

AとBの結果から、日本における高度計の表示誤差は、以下の様になります。
真冬(平均気温  0゜C): +/- 31m + 機器誤差(各高度計の仕様による)
春秋(平均気温12゜C): +/- 10m + 機器誤差(各高度計の仕様による)
真夏(平均気温25゜C): +/- 32m + 機器誤差(各高度計の仕様による)

(冬や夏には、表示高度の換算目安を用いて、より標高に近い値を得ることが出来ます。)

GPS式高度計

GPSは、地球上空20,000mを周回する24〜28機のGPS衛星からのマイクロ波を受信し、位置を測定する装置です。 受信出来る衛星数が多くなればなるほど、位置精度が上昇します。しかし、マイクロ波は直進性が高いため、山際や谷や深い森では受信出来る衛星数が減り、測位精度が極端に落ちてしまいます。

更に、GPSは水平方向の測位精度に比べ、垂直方向の測位精度は非常に劣ります。カタログには記されていませんが、ハンディータイプのGPSでは、+/-70mの誤差を覚悟する必要があります。そのため、ハンディータイプのGPSの高級機種には、気圧式高度計を組み込んでいるものがあります。GPS機能での高度測定は、ハンディタイプのGPSでは諦めましょう。

測量では、複数の高価なGPS測量器を用いることで、誤差を数cm以下まで下げることが出来ます。しかし、陸地は潮汐の働きによって一日に数十cm上下しており、地図を作製するような正確な標高測定には、大変な苦労が必要になります。

レーザ式高度計・レーダ式高度計

レーザ式高度計・レーダ式高度計は、人工衛星や航空機と地面との距離をレーザ光やマイクロ波の反射によって測定し、対地高度を精密に測定する高度計です。(垂直方向の距離計といった方が判り易いと思います。)

人工衛星では、月・金星・火星などの地形を求めるのに用います。(小惑星イトカワに、はじめてのおつかいに行った、はやぶさも、レーザ式高度計を用いていました。)

航空機は、霧で視界のきかない空港に自動着陸する際に、レーダ式高度計を用います。
 (丘の上にある空港では、進入路部分に滑走路と同じ高さの人工地盤を設置します。)

通常の飛行時は、気圧式高度計を用います。飛行機の高度計には、標高0m付近相当の気圧値を入れることで、高度補正を行います。

離陸前に、空港の位置で海抜3mに相当する気圧の値(QNH)を高度計に入力し、高度計を補正します。航空機の高度計は、ほぼ滑走路の標高を示します。
  (QHNは、METARの中で通報されます。Qに続く4桁がhPaの値です。)

離陸後、高度14,000ft(4,267m)以上では、地上の気圧変動に関係なく、海抜0mに相当する1013hPaを高度計に入力して、高度計を補正します。この時、航空機の高度計は、ICAO標準大気の式(1)から計算される高度をそのまま表示します。海抜0m地点の気圧を無理矢理1013hPaにしてしまったのですから、気圧式高度計が示す高度と、真の高度は異なります。しかし、すべての航空機が、同じ原理の気圧式高度計で飛行しているので、衝突の危険はまずありません。

おまけ

さて、問題です。
   気圧計を用いて、高い建物の高さを測る方法を示しなさい。
     (横浜物理サークル[YPC]さんのホームページへのリンクです。)



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