高度計の使い方
高度の補正(高度校正)
気圧式高度計は、ICAO標準大気の式を用いて、気圧から高度を計算し、高度として表示しています。
実際の大気の状態は、ICAO標準大気と異なっており、常に変化しています。そのため、使用開始時、そして、高度補正(校正)後1時間が経過する前か、標高差が500mに達する前に、高度計の高度補正操作(高度校正)をする必要があります。
補正操作の容易さは、非常に重要です。しかし、登山用デジタル高度計の中には、高度補正(校正)操作が、非常に複雑なものが多々あります。御購入前に、十分チェックして下さい。山登りをしながら簡単に高度補正(校正)が出来ないと、山に持って行っても、高度計としては全く役に立ちません。
高度補正(校正)の方法
1. 登山計画を組む時に、経路の判りやすい地点(バス停・登山口・山小屋・尾根道の端・山頂) の標高を地形図などであらかじめ調べておきます。
(登りは1時間内、下りは500m内の標高差を目安にします。)
2. 登山開始時に標高の判っている場所(バス停・登山口)で、高度計の高度表示値をその標高 に合わせます。一旦合わせたら、高度計が使用出来るようになります。
(補正操作方法は、高度計の取扱説明書をご覧下さい。)
3. 以後、1時間、又は、標高差が500mに達する前に、標高がわかる場所(山頂など)に到着 したら、2の時と同じ姿勢で、高度計の高度表示値をその場所の標高に合わせ、高度を 補正します。
ご注意:山小屋の看板・広告の中には、標高を100m単位で切り上げて表示している 場合もあります。正しい標高は、地形図などで確認して下さい。
表示高度の換算目安
機器誤差の小さい高度計でも、冬や夏には、登山中に大きな誤差を生じます。
高度計の誤差=「実際の大気とICAO標準大気の違いによる誤差」 + 「機器誤差」 です。冬や夏には、実際の大気とICAO標準大気の気温差が大きく、表示高度が大きくずれます。 また、高度計の機器誤差(精度)は、高度計の仕様に記されています。高度精度が仕様に記されていない高度計は、機器誤差が非常に大きいものと推定されます。 (詳しくは、 「高度計の知識」をご覧下さい。)
冬や夏には、下の表を目安に、表示高度から標高に近い値に換算することが出来ます。
(穏やかな天候で、機器誤差の小さい高度計を使用しているのが条件です。)
季節
(海面気温) |
表示高度の換算目安
(高度計が、100mの高度差を表示した時) |
(傾向) |
真冬( 0゜C) |
実際の標高差は、約 96m |
標高差 < 表示高度差 |
真夏(25゜C) |
実際の標高差は、約105m |
表示高度差 < 標高差 |
(海面気温は、低地の月又は日の平均気温に近くなります。)
使用例:真夏に、標高1000mの標識に合わせて高度計を校正した。
・登り:高度計が1300mを表示した地点は、標高約1315m付近と考えられる。
[高度計が+300mの高度変化を表示 ==> 実際の標高差は、約+315m]
・下り:高度計が800mを表示した地点は、標高約790m付近と考えられる。
[高度計が−200mの高度変化を表示 ==> 実際の標高差は、約−210m]
標高の調べ方
出発地や高度補正操作を予定している場所の高度は、出発前に調べておいた方が良いでしょう。
ある地点の標高を調べる方法を以下に示します。
建物の中を出発点にする場合には、地図から読み取った標高(地面の高度)に、建物の高さを加えることを忘れないで下さい。
1. 国土地理院の電子国土の地図から、標高を読み取る。
津波対策の標高測定には、気圧式高度計を用いず、 必ず、国土地理院の「標高がわかるWeb地図」から標高を求めて下さい。
2. 三角点・水準点を用いて、標高を求める。
a. 国土地理院の基準点成果等閲覧サービスにアクセスする。
b. ユーザ登録を行う。(「点の記」を閲覧する必要があるので、登録して下さい。)
c. メールで送られてきた、ユーザID・パスワードで、ログインする。
d. 対象の三角点等を選択・表示し、「点の記」を表示し、細かい位置・標高を確認する。
e. 調べた三角点等の場所に行き、その位置の標高に、高度計の高度を補正する。
出来るだけ、天気の穏やかな日を選びます。三角点等に到着後、1分以上は待った後、補正を行います。立った姿勢で補正をした方が、ベターです。高度を知りたい時も、通常は立ったまま高度計を見ますので、誤差が減ります。
三角点が土に埋もれている場合もあります。「点の記」に地下何十cmに埋まっているかも書いてあります。適当に標高値を読み替えて下さい。掘り返してはいけません。
また、私有地に三角点がある場合は、土地所有者に、立ち入りの承諾を得ましょう。
f. 数十分以内に、自宅や会社などの決まった場所に移動し、その場所の高度を読み取り、 記録します。
これで、次回からは、自宅や会社が、かなり正確な標高が判っている高度補正場所になります。高度の読み取りや補正は、椅子に座った姿勢でも、立った姿勢でも構いませんが、いつも決まった姿勢でおこなって下さい。
3. カシミール3Dで、標高を読み取る。
地形図の標高測定点以外の場所では、等高線から標高を読み取るのは大変です。 カシミール3Dの解説本
に付属する地形図データを使えば、画面に表示される地形図上のポイントをマウスで指すだけで、標高が読み取れます。
カシミール3D解説本があれば、登山道に沿った断面表示や、勾配計算、登山時間の計算も出来てしまいます。
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